この写真は山の岩稜帯に生えていたホウオウゴケの姿です。これと同じように庭園の岩に活着したホウオウゴケの姿を再現したいのですが、屋外でのホウオウゴケの石付きは、かなり難易度が高いと思いました。それは、ここと同じ環境である年間を通して冷涼かつ、朝夕に水分をたっぷりと含んだ霧が発生する環境を屋外で再現することが困難だからです。
ホウオウゴケは水中でも生育するほど、水分が欠かせないコケです。アクアリウムの世界では「ウォーターフェザー」と呼ばれ、水草として活躍しているホウオウゴケです。もし屋外の庭園で育てるのであれば、北側を向いた低日照の滝や常緑樹の木々で日陰になった池の石組の間ならば、順調に育ってくれるかもしれませんね。それでも30℃を越えるような日が続くとホウオウゴケには厳しい環境です。
やはりホウオウゴケを簡単に育てるのであれば、温度や湿度また日照(日陰をつくる)などの管理がしやすいテラリウムが最適です。テラリウムであれば石や流木などに活着させることも容易です。その際も蓋ができるケースを使い、水位は高く保っている方が順調に育ちます。水位を高く保つため低床や用土が腐敗しないように、黒曜石パーライトやバーミキュライトのほかに燻炭を入れるなどの対策をおすすめします。
生育環境については、弱酸性から中性で水はけの良い土壌で、空間湿度が高く日陰の環境を好みます。他のコケと同じく肥料分は嫌うので添加しない事や、高温や乾燥には特に弱いので注意してください。