苔が喜ぶおすすめの育て方

2020年1月26日

苔の栽培について

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元気に育つ苔

多くの苔はあまり手を掛けなくとも枯れる事がないのが苔の魅力でもありますが、ここではより元気に育てる方法や条件を紹介します。

生育環境

苔も大きなカテゴリーでは草木と同じ植物の仲間ですが、草木とは好む環境が少々違います。それはカラダのつくりの違いから生育環境にも差が出ています。

ひとつ草木との大きな違いを紹介するならば、苔から生えている根のようなものは、草木の根のように水を吸い上げる機能に優れてはいません。仮根(かこん)と呼ばれ苔自身のカラダを木や岩などに固定し活着するための物です。ちなみに仮根については、以前は水を仕上げる機能が無いとされてきましたが、近年では僅かながら水分を吸収する事ができるという研究結果がいくつか発表されていますが、今のところ確定的な結論は出ていません。

このように通常の植物と苔の各部の機能や特徴の違いから、好む生育環境にも違いが出てきます。これから苔の好む生育環境について項目を追って紹介していきます。

【用土および土台】

とくに上質の用土でなくても育つ苔がほとんどです。用土や苔を活着させる土台に求められる条件は、排水性と後述のph値くらいです。保水性もある程度あると管理が容易になりますが、苔には水を吸い上げるための根がないため必須ではありません。ただ空間湿度を保つためには保水性が全くない材料を選んでしまうと管理が大変です。

苔をマット状の商品にして販売をしている業者のなかには、ピートモスなどのほかココヤシ繊維などをミックスしてオリジナルの用土を開発しているところもあります。マット状の苔は、まるでホームセンターに並ぶ芝生マットのような外観です。

それと用土選びの際に案外大切な事のひとつになるのですが、インテリアとして苔を育てるなら用土は虫が付きにくい材料を選ぶべきです。

【日照】

苔の種類によって日照時間と日射の質などの条件は変わりますが、好む環境は「日なた」「明るい日陰」「日陰」とおおむね3グループに好む日照条件が分かれます。

意外に思うかもしれませんが「日なた」から「明るい日陰」を好む苔が多く、多くの種類は午前中に日が当たる程度の環境を喜びます。

ほとんど日が当たらない暗い日陰に生える苔は少ないです。また炎天下や強い西日も苦手です。

【水や空間湿度】

世間的には苔といえばジメジメと湿った環境を好むと思われがちです。しかし苔の種類によっては雨がめったに降らない乾燥した地域や、草も生えないような富士山の溶岩石の上に元気に生える苔もいます。

それだけ苔の種類によって水に対するリクエストが違います。例えば乾燥した所に生えた苔を持ってきて、うつくしい苔庭をつくろうと池や手水鉢まわりに貼り付けても上手く成長しないと言う事も起きてきます。やはり苔が一番好む水分量は、その苔が生えていた場所の条件を再現してあげるのがベストと言えます。

では、おおかたの苔が好む水分の条件と言うと…。世間的なイメージとは違い、常に水が溜まりジメジメした環境は苦手です。どちらかというと水はけの良い土地で降った雨はさっと浸透するけど、木々や岩などにより空間湿度はある程度保たれている様な環境を好みます。

中には変わり者がいて湿地帯の常に水に浸かった環境が大好きな苔もいますが、よくお店で見かける鑑賞対象にされる苔の多くは「水はけの良い、空間湿度が保たれた環境」が必要です。

【温度】

適切な温度も苔の種類によって差がありますが、おおむね10℃~25℃の範囲を好む種類が多いです。

低温域では10℃を下回ると徐々に成長が鈍化し、0℃に近くなると成長が止まります。逆に高温域には弱い種類が多く、30℃くらいからダメージを受ける苔の種類が多いです。寒冷地出身の苔は特に夏場は要注意です。

苔が他の植物と違いおもしろいのは、発芽した土地の気温により若干の適応力があり、同じ種類の苔でも種から発芽した時の環境が暖地か寒冷地かで温度に対する耐性に違いがでます。

【PH値】

多くの苔はph4.5~ph6.5の範囲が適したph値になります。酸性やアルカリ性でいうと弱酸性から中性あたりが適正環境になります。ちなみにph5は食品でいうとブラックコーヒーにあたるそうです。

逆に苔はアルカリ性には弱い種類が多く、ゼニゴケの駆除に農薬を使わない方法としてアルカリ性の石灰を散布するという駆除方法があるくらいです。おもしろいことに強酸性の環境を好む苔は存在しますので今後紹介したいと思います。

【肥料】

肥料についてはいろいろと説が分かれていて、現在でも科学的な根拠に基づいた結果が出ていないのが現状です。しかし基本的に「肥料はいらない」という説が専門家の中でも多数派で有力なようです。

個人的には「肥料は要らない説」に一票投じたいと思います。なぜなら肥料分の著しく少ない岩石や人工物などの上にでも生育できるし、大きくしようと肥料をあげたら枯れてしまったという話もよく聞くのが苔です。

しかし苔の中には、多くの肥料にさらされる農作物の苗を育てる育苗ハウスの中で悠々と成長する種類も存在します。どうやら苔の種類によって特定の物質が害になったり有益になったりするようです。ということで特別な理由(苔庭など混植する植物の特性など)でもない限り肥料はやらないのがセオリーです。

肥料のお話しとは少し外れますが、苔庭などでは野生動物やペットの糞尿を放置すると、肥料と同じく悪影響を及ぼしその部分の苔が枯れてしまう事もありますのでご注意ください。その場合は、糞尿を取り除いた後に大量の水を撒くことで苔が枯れてしまう事を予防できます。

お手入れ

日ごろのお手入れは苔を育てる環境にもよりますが、基本的に重労働になることはありません。一番大変なのは苔庭にした場合の草取りでしょうか。

【水やり】

品種にもよりますが鉢植えの場合は、苔の葉が縮まり始めたら水やりしましょう。苔庭の場合は春と秋は朝か夕方に一回で、真夏は早朝と日没後の2回水撒きするのがベストです。冬季は極度に乾燥していなければ水やりの必要はありません。むしろ冷え込んだ時期に水撒きした場合は、翌朝の霜柱で苔が浮き上がってしまう事もあります。

基本的には以上の水やり方法で良いですが、苔の品種や用土、生育環境により異なるので苔の状態(葉色や縮れ具合)を良く観察して適量を水やりしてください。苔だからと言って水のやり過ぎも生育不良や枯れを起こしてしまいます。

【トリミング(整形)】

植木でいう剪定の事になります。おもにスギゴケ類で行いますが、あまりお勧め出来るお手入れ方法ではありません。表土からの新芽の成長促進の効果をねらい、スギゴケの一本一本が倒れてしまうほど丈が伸びる3~4年程度経過したスギゴケに行う事もあります。

しかし刈込を行っても復活することはあまり多くないのが残念ですが事実です。もし剪定をするなら春先や梅雨もしくは秋雨の季節で、空間湿度と温度が苔に最適な日が続く時期がいいですね。

【補填(苔庭などでは必要)】

苔庭は施工して2年くらいは、水やり以外ほぼノーメンテナンスで美しい苔庭を維持することが可能です。しかしどんなに苔に適した環境のお庭でも2~3年するころには、枯れた部分や土から剥離した部分が出てしまいます。

これは自然の山でも同じくおこる現象で、苔がびっしりの中に局所的に枯れている場所が現れます。こういった事は避けられないので、新たに苔を補填して苔庭を美しく維持することにななります。この時は苔が枯れてしまった部分の土壌は水はけや通気性が悪くなっている事が多いので、新しく苔を補填する前に土壌改良を行います。

土壌改良の方法は、枯れてしまった苔を取り除いたあとに深さ30~40cm土を掘り返し、掘り返した土に炭やモミ殻燻炭を土の量の数%混ぜて埋め戻す事により、水はけや通気性の改善になります。


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kokemosskoboロゴ 著者:苔モス工房

苔玉づくりをきっかけに苔の魅力にどっぷりハマってしまい、現在は苔庭や苔盆栽からモスインテリアなど多岐にわたり没頭中。さらに詳しくは⇒About us

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