苔類のなかでもゼニゴケとジャゴケって、品種によっては見分けるのが難しいですよね。胞子体や雌器托または雄器托が発生していれば判別が容易になるのですが、今回はそれ以外の見分け方について紹介したいと思います。
ゼニゴケの仲間は、基本的に無性芽が「無性芽器」と言われるカップ状の入れ物に入った状態で発生します。街中などでよく見るゼニゴケ(銭苔)では、円盤のようなカップ状の無性芽器が作られます。この円盤状の無性芽器が、銭の形をしていることがゼニゴケの名前の由来です。
形は色々ありますが、この「無性芽器」があれば概ねゼニゴケと言ってよいでしょう。
ちなみに上の写真は、ミカヅキゼニゴケ(三日月銭苔)の無性芽器です。名前のとおり三日月の形をしたカップ状の無性芽器を持ち、その中に無性芽が入っています。そしてこの三日月型のカップは葉状体の外縁(外側)方向が解放された形になっていて、無性芽が苔自身の上にではなく外界に蒔かれるように工夫されています。
ジャゴケの仲間については、ヒメジャゴケなどは気温が低下すると葉状体の縁に、無性芽器を発生させず直に小さな円盤状の無性芽をつけます。本家のジャゴケはもちろん無性芽器は無く、そして無性芽もつける事はありません。