写真は苔に覆われた軽量ブロックです。苔愛好家にとっては美しく見え、とても癒される光景ですよね。しかし一般的に考えるとブロックに苔が生えるなんて、ブロックの老朽化などが不安になりますよね。そこで今回はコンクリート構造物と苔について少しお話ししたいと思います。
ほとんどの苔は中性から弱酸性の土や樹皮などの基物(苔が付いているベース)を好んで繁殖します。逆に言うとアルカリ性のコンクリートで造られているブロックや擁壁は基本的に好みません。そのため真新しいコンクリート構造物には生息出来ません。では何故このブロックは美しく苔に覆われているかと言うと、それは上記でも少し触れていますが、このコンクリートブロックが新しくないからですね。
まずコンクリートというのは、水とアルカリ性のセメントと骨材を混ぜて作りますが、硬化後から酸性雨や空気中の二酸化炭素などの外的要因により、どんどんアルカリ性が弱まり「コンクリートの中性化」という現象が進みます。それにより、苔が生きていける環境になっていきます。
岩や古い樹木など自然物に苔が生えていると「ほっと」嬉しくなりますが、コンクリート建造物に苔が生えていると、どうもこの中性化の事が頭に浮かび経年劣化の進行や強度などがどうなのか気になります。
そこでコンクリートの中性化について少々調べてみたのですが、中性化現象は鉄筋への影響を除いては、コンクリート自身の強度への影響がないという資料も幾つかありました。ただしコンクリートが酸性へ傾いていくことにより鉄筋が腐食して膨張し、コンクリートに亀裂を発生させてしまいます。また、あくまで経験上のお話しになりますが、苔が生えているようなコンクリート構造物は、表面がボロボロとしているイメージがありますね。
その辺はコンクリートの専門家を信じるしかないですね。ちなみにコンクリートの苔を取るのに、熱湯をかけたりスチーム洗浄する方がいますが、コンクリートを痛めるので良くないと聞きましたので止めてくださいね。苔は除去しても繁殖条件のどれかが欠けない限り再繁殖してしまいます。定期的な除去が必要な場合は、常温での高圧洗浄が第一選択肢になる事が多いですね。