樹木についたウメノキゴケの誤解と除去方法

2020年11月20日

コケの駆除 コケ植物ではないコケ 地衣類

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ウメノキゴケがついた松

今でもたまに聞くのですが、ウメノキゴケが庭木や果樹に付いていると “樹木を衰弱させる原因になる” とおっしゃる方が多くいます。これは体力の衰えた古木にウメノキゴケがたくさん付いている事が多いため誤解している方が多いのかもしれません。ウメノキゴケが樹木の衰退の根本原因であるかのごとく、樹木に寄生して栄養を奪い取るというような事はありません。

まず、ウメノキゴケについて少しお話すると、名称にコケと冠していますがコケ類ではなく地衣類という菌類の仲間です。菌類と言うとますます悪者扱いされそうですが、動植物を分解し栄養を吸収する菌類単体(キノコやカビなど)とは違う生き方をしています。

地衣類は体の中に藻類を住まわせ共生することで、自ら栄養を作りだし自活しているため、活着した樹木から栄養を吸収するような事はしません。そしてウメノキゴケが樹木に活着するための根の様なものは、偽根といい他の寄生植物のように水分や栄養素を吸収する能力がないのです。

「ウメノキゴケの付いている木」=「衰弱した木」

という図式は、実は樹木の樹勢が衰えて樹皮の新陳代謝が落ちている事と、樹木自身の他生物に対する免疫力(樹木が持っている抗生物質で自身を守る力)が落ちているのが原因で、ウメノキゴケが生息しやすい環境になっているだけなのです。そのためウメノキゴケを除去しても、樹木の樹勢が弱ければまた発生してしまいます。

結局のところ、ウメノキゴケ自体が樹木を侵襲(攻撃)しているわけではないので放置していても、大きな害はないと考えられています。

ウメノキゴケがついたサツキ

しかし上の写真のように枝の大半を覆ってしまうと樹皮の呼吸が妨げられてしまいますし、新芽を覆ってしまう場合も若葉の発生に影響を及ぼし、どちらも結果として樹勢が衰えてしまう要因になります。ここまでウメノキゴケが広がると除去の必要性が出てきます。方法としては物理的に除去する方法と薬品を使う方法があります。

・物理的には、高圧洗浄機で吹き飛ばしてしまう方法が一般的に使われます。高圧洗浄機の中には高温の蒸気を発生する機種もありますが、もちろん使用しないで常温の水を使って作業してください。水以外では樹木が枯れてしまいます。

・薬品を使う方法としては、ウメノキゴケは硫化物が苦手なので「石灰硫黄合剤」を散布する事により枯らす事もできますが、ウメノキゴケは枯れても樹皮から脱落する事は無いので、結局は高圧洗浄が必要になる事が多いです。また石灰硫黄合剤は強い薬品のためウメノキゴケが付くほど衰弱している樹木には薬害がでる可能性もあります。また臭いも強いので住宅街での使用は難しいでしょう。

その他に有機農法でも利用されている「ボルドー液」にも効果があると聞きますが、こちらは散布に際して臭いは石灰硫黄合剤ほどないが、散布した薬液が蒸散した後に青白い粉が残ります。

まずは樹木の元気を取り戻してあげる事で、樹皮の新陳代謝や自己免疫の活性によりウメノキゴケの繁殖を抑えるという方法が、最初に試みる対策としてお勧めできます。


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kokemosskoboロゴ 著者:苔モス工房

苔玉づくりをきっかけに苔の魅力にどっぷりハマってしまい、現在は苔庭や苔盆栽からモスインテリアなど多岐にわたり没頭中。さらに詳しくは⇒About us

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