ミズゼニゴケの仲間は湿った環境を好むため、だいたい山麓の湿った崖や清水が湧いているような場所に群落をつくって生えています。里山でも沢沿いの日陰を探すと見つけやすいと思います。
そしてゼニゴケの仲間は苔類の中でも種類の同定が難しいと言われていますが、ミズゼニゴケの仲間はさらに見分け方が難しいです。なぜなら陸上で生息している時と、沈水植物のように水中に進出してきた時では植物体の見た目が違って見えます。
たとえばホソバミズゼニゴケは陸上の個体に比べて、水中の個体は光が水に吸収され光合成の効率が落ちてしまうのを補うため、葉緑素が多く葉状体の緑色が濃く見えます。そして葉状体の長さにも違いがみられ陸上の個体に比べ長いものが多く、水の流速が早い場所ほど長く伸びている事が多いです。
そして見ための姿が品種間でとても似ている事から、鑑別に必要な特徴の違いを見つける事がとても難しいです。
ミズゼニゴケモドキ
葉状体はホソバミズゼニゴケに比べてやや透明感のある淡緑色で、茹でたワカメのようにも見える。中肋はホソバミズゼニゴケに比べさらに不明瞭で存在が分からない。湿原や湧水池など、より湿潤な環境を好んでいるようです。雌雄異株。ホソバミズゼニゴケ
葉状体は濃緑色から茶色で葉長は5cmほどになることもある。幅は1cmほどで二又に分岐し、縁はやや波状に縮れて見える。腹面の中肋部分は広くなだらかな尾根状になっていて境目がはっきりしない。蒴柄は長く球体状の蒴をつける。晩秋から春先にかけて葉状体の先端に小さな蛙の手のような無性芽をつける。雌雄異株。ミヤマミズゼニゴケ
葉状体は緑色から濃緑色で一部褐色部分があり縁は波打ち、ミズゼニゴケモドキの様に透明感は無い。葉長は2~5cmで幅は0.5~1cmほどで、葉状体先端で二又に分枝する。中肋部は境界が不明瞭で分かりにくい。雌雄異株。絶滅危惧 I 類 。エゾミズゼニゴケ
葉状体は緑色から一部褐色部分があり若干の透明感があり縁は小さく波打つ。もやしの様に白い雌器托が5cmほど長く伸び、先端に玉状の胞子体を付ける。雌雄異株。参考記事⇒先端に緑色の球体を付けた柄が伸びるエゾミズゼニゴケそしてここ記載したミズゼニゴケ以外にも多くの種類がありますが(ミドリゼニゴケやほか多数)、判別が難しいミズゼニゴケについてのお話しは、また機会がありましたら掲載したいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございます。