アカミゴケなど地衣類の栽培は可能なのかを考察

2020年7月18日

コケ植物ではないコケ 地衣類

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アカミゴケ

この写真に写っている先端に赤い実をつけた苔のような生物は、アカミゴケという名称で呼ばれていますがコケではありません。地衣類という菌類の体に藻類が共生して生きている個性的な生き物です。外観や生育環境が苔とそっくりな為に名前にコケとついています。

最近は、このような地衣類を苔のようにインテリアや鑑賞用として、お庭やお部屋で育てたいという方が増えてきています。しかし地衣類はまだ分からない事が多く、研究対象としてもマイナーな故に栽培方法となると、日本だけでなく海外でも資料があまり多くありません。

そこで、どのように育てると栽培できるのかを考えるために、文献などの資料や自然界に生息する地衣類が生えている環境からいくつか情報をあげてみます。

  • 地衣類の生活様式というのは、ベースとなる住居や適度な水分などを菌類から提供してもらった藻類が光合成をおこない、その生産物を菌類に提供して共存しています。
  • 品種により活着している基物(ベース)に選択的個体差があることから、基物に住み着く別の菌類や化学的性質とも影響し合っている可能性が考えられる。
  • 地衣類もコケと同様に、日照や温度湿度など適正環境が品種により大きく違う。
  • ウメノキゴケが環境指標生物になっているように多くの地衣類が大気汚染に弱く、地衣体には水分や重金属を蓄積しやすい。

以上の事から地衣類を栽培するためには、少なくとも次のような要件が必要ではないかと考えました。

  • 採取する際に地衣体(本体)だけでなく、できるかぎり基物(ベース)ごと採取する。
  • 栽培する地衣類が生息していた日照を再現する。樹状地衣類は直射日光や西日の当たらない半日影に多いが、日がまったく当たらない環境は好まないようです。痂状地衣類や葉状地衣類については、直射日光や西日の当たる過酷な場所にも生息している。
  • 地衣類が活着している基物は水はけが良いことが多く、雨が降って水が溜まるような場所では見かけない。しかし湿地のような場所に生育している種もあるが、基本的に地衣体に常に水が掛かる環境には生育していない。
  • 空間湿度を好むコケと一緒に生育している事もあることから。朝霧程度の湿度を好む可能性がある。
  • 多くの地衣類にとって健全な成育には、自身の乾燥と湿潤を繰り返す必要があるようです。
  • 共生している藻類が空気中から窒素を取込みアミノ酸などの窒素化合物として固定し菌類へ提供している事から、鑑賞用にケースなどに入れて屋内で栽培する場合は、たまには直射日光の当たらない屋外に出してあげる。

など上記の事ことを配慮すれば上手く育つ可能性が高いのではないでしょうか。

現在、同じ地衣類のウメノキゴケで栽培を試みていますが、基本的に地衣類は成長が遅いので結果が出るまで時間がかかりそうです。今後、アカミゴケが入手できた場合にも、同様に栽培してみたいと思います。その際に新たな発見があったら随時追記していきます。


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kokemosskoboロゴ 著者:苔モス工房

苔玉づくりをきっかけに苔の魅力にどっぷりハマってしまい、現在は苔庭や苔盆栽からモスインテリアなど多岐にわたり没頭中。さらに詳しくは⇒About us

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