今まで苔の仮根(かこん)というのは。水を吸い上げる機能は無いと言われていました。しかし最近になって、わずかではあるが水を吸い上げているのではないかという説が出ています。
今回はそれを検証するために、ブラックライト(紫外線ライト)に反応して発光する蛍光染料を水に溶かして、その水を吸い上げた苔が光るのかを試してみました。今回の実験に使用した苔は、葉状苔類のミカヅキゼニゴケです。
仮根の生えている腹面についた土を軽く洗ったミカヅキゼニゴケを、蛍光染料を溶かした水を浸み込ませたスポンジの上に置き実験開始です。
遮光した箱の中でブラックライトでミカヅキゼニゴケを照らします。蛍光染料を溶かした水が浸み込んだスポンジが蛍光発光していますが、まだ苔の方は発光していません。
ゼニゴケの好む半日陰に置いて1日経過後に、再び上記と同様の要領でブラックライトで照らして観察します。予想ではミカヅキゼニゴケの葉状体の背面がムラなく薄っすらと発光する事を期待していたのですが、結果は一部の葉状体で、縁の部分がわずかに発光しているのを肉眼でかろうじて確認できる程度でした。写真では捉えることが出来ないほどの弱い発光。
この程度の発光だと、蛍光染料が仮根から葉状体に移動したという確固たる根拠にはならず、重なり合う葉状体の隙間を毛細管現象で伝っただけの可能性も捨てきれません。今回の実験では思ったような結果が得られず、次回は苔の種類や蛍光物質の種類を変えて再度挑戦してみ見たいと思います。