地衣類の子器(しき)という器官は、胞子を作るところです。上の写真は子器をつけたウメノキゴケの仲間になります。ウメノキゴケの仲間としたのは、おそらくウメノキゴケだと思いますが、活着していた桜の樹皮から採取をしなかったため鑑別に自信がなかったのです。桜はソメイヨシノの古木であり、ウメノキゴケが好む基物のひとつでもあり、地衣体の中心部に集中した裂芽からもウメノキゴケである確率は高いです。
地衣類は無性生殖としての粉芽(ふんが)や裂芽(れつが)をつける個体は、有性生殖を行なう子器の裸子器や被子器をつけることは稀なことです。街中でもよく見かけるウメノキゴケの仲間も子器をつけることは、とても珍しい事なのです。ちなみに発生する子器は、裸子器で皿状になるレカノラ型です。写真に写るウメノキゴケでは、褐色をしたロート状のものが子器になります。