山地の厳しい環境で耐え育つ「シモフリゴケ」と「ハリスギゴケ」

2021年12月23日

コケ探訪 苔の知識

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「シモフリゴケ」と「ハリスギゴケ」

写真に写る白い綿毛のような苔はシモフリゴケといい、標高が高く冷涼な山地に育つめずらしい苔です。このシモフリゴケは富士山の6合目付近で目撃しました。生えていた場所は富士山の大きな溶岩の窪みに砂礫が溜まった水はけの良い場所で、文献どおりの日当たりが良く水はけの良い岩上などに群落をつくるという説明と一致する好適地でした。

このシモフリゴケの白いフワフワの綿毛のように見えるものは、葉先から伸びる透明尖が長く発達したものです。シモフリゴケの育つ標高の高い山地では直射日光が強すぎるため、この綿毛のようなもので身を守っています。また、空気中の水蒸気をこの綿毛に接触させることにより水滴へと凝集させているとも考えられています。

ひと昔前は富士山でよく見かけられたシモフリゴケですが、近年は登山者の増加によって土壌の踏みつけによる生育環境の悪化や、灌木の生育範囲の拡大により生育数が減ってきているように思えます。これ以上数を減らさないように、登山道を外れて歩かない事や入山前に靴に着いた灌木の種を落とすなどの対策を守っていきたいですね。

シモフリゴケの中に生えるハリスギゴケ

ちなみにこのシモフリゴケの群落の中には、ハリスギゴケという苔がまぎれ込んでいます。写真内の赤丸で囲った中に生えている周囲とは容姿の違う苔がハリスギゴケです。この苔も葉先から長く伸びる透明尖が特徴ですが、シモフリゴケのように綿のようにはなっていません。どちらかというとこの針金のような形状の方が、空気中の水蒸気や霧から水滴を得るには向いているように感じます。

ちなみにハリスギゴケやシモフリゴケは富士山のようなとても過酷な環境下では、こうやって隣り合って共存し合っているのをよく見かけます。そのようなコロニーの中には、ときどき地衣類が加わる事もあります。


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kokemosskoboロゴ 著者:苔モス工房

苔玉づくりをきっかけに苔の魅力にどっぷりハマってしまい、現在は苔庭や苔盆栽からモスインテリアなど多岐にわたり没頭中。さらに詳しくは⇒About us

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