嫌われ者というイメージが強いジャゴケ界の中でも、ヒメジャゴケというジャゴケは見方によっては蛙の手のように見えて可愛いいのです。
ヒメジャゴケは雑木林などの半日影でよく見かけられ、ゼニゴケやジャゴケより葉状体の幅が2~3㎜程度と細くて、長さは1~3㎝程度の長さで小さく枝分かれしています。葉状体の背面(上側)にはジャゴケと同様に蛇の鱗模様があり、腹面(地面側)には腹鱗片が中肋(中心のスジ)に沿って2列につき、中肋には薄灰色の仮根が綿毛のように密生しています。雄株と雌株が分かれている雌雄異株です。
このヒメジャゴケの魅力的のひとつとして、多くの苔は一年通しての変化が少ないのですが、ヒメジャゴケには落葉樹のような四季の変化を感じる事が出来ます。
- 春になると、草木が花を咲かせるように胞子体が一斉に伸びてきて胞子を飛ばします。
- 夏になると、きれいな緑色になった葉状体の先に雌器托や雄器托をつけます。
- 秋になると、晩秋に気温が下がると葉状体の先端から縁に無性芽をつけます。無性芽には小さな円盤状のものと極小な粉芽状の2種類あります。
- 冬になると、霜が当たるような低温にさらされると葉状体を枯らし、まるで落ち葉を敷き詰めたようになります。
なかでも晩秋に葉状体の縁に付ける円盤状の無性芽が、とても愛らしくかわいいので機会があれば見てあげてください。ちなみに写真は、夏の雄器托を付けたヒメジャゴケの姿になります。