富士山麓のハイキングコースを歩いていたところ、めずらいい地衣類を見かけたので写真に撮ってきました。見た目は少し変わった形の苔やシダに見間違われてしまいますが、カブトゴケという地衣類です。
カブトゴケは、漢字で書くと「兜木毛」と書き。「木毛(コケ)」という漢字を使うのは、主に地衣類で○○ゴケという名前の時に “コケ” として使われる漢字です。カブトゴケの「兜」の漢字は、武将が頭にかぶる兜の装飾模様が、この地衣類の脈状の模様に似るから名付られたという説が有力です。
ちなみに英語圏では「Lobaria(ロバリア)」と言われます。また地衣体の腹面(裏側)の容姿が肺胞に似ている事から「lung lichen(肺 地衣)」や「lung moss(肺 苔)」、「lung wort(肺 草)」と呼ばれることもあります。国によって表現がガラリと違い面白いですね。ちなみに苔類のゼニゴケは「liver wort(肝臓 草)」と呼ばれています。
そしてこのカブトゴケ類は外観がすごく個性的ですが、生活史も変わっていて他の地衣類が菌類をベースに藻類が共生しているのに対して、さらにもう一種の生物として「シアノバクテリア(藍藻とも呼ばれる)」が頭状体として共生しています。このシアノバクテリアは空気中の窒素を固定し、藻類だけでは足りない養分を補っていると考えられています。