シッポゴケの種類は鑑別が難しいので特徴をまとめました。

2021年1月13日

苔の知識

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シッポゴケの群落

シッポゴケの仲間は見た目がそっくりなので、区別するのが難しく未だに自信を持て同定できません。写真入りの苔図鑑や文献などを見ながらの同定は、楽しくもありますが書籍を引張り出してくるのが面倒に感じる事もあります。そこでこのページで備忘録がわりに、各種の特徴をある程度まとめてみました。今後は、それぞれの写真も追加していけたらなぁと考えています。

シッポゴケ

  • 学名:Dicranum japonicum
  • 漢字表記:尻尾蘚
  • 蘚丈:5~12cm
  • 葉身:7~12mm
  • 生育環境:半日陰の腐食質
  • 葉の特徴:葉の上部は細くウネリのある狭披針形で、葉縁の上部1/3ほどには上向きの鋭歯あり。乾燥時は大きく開出する。葉の先端は溝状になる。中肋は細く葉先近くに達する。
  • 葉腋の仮根:綿埃のような白色細根
  • 蒴および蒴柄等の特徴:蒴柄の長さ5㎝程でおおむね褐色~赤褐色を呈している。蒴の長さは3~4㎜程度で直径1㎜程のカプセル状で横を向いて付いている。帽はおよそ8㎜の僧帽形のフード状。蒴歯は上部に乳頭突起が密生し下部には縦の線見られる。
  • その他:葉腋に生える白い仮根と、葉先まで続くU字状の溝が特徴。

オオシッポゴケ

  • 学名:Dicranum scoparium
  • 漢字表記:大尻尾蘚
  • 蘚丈:2~5cm
  • 葉身:5~8mm
  • 生育環境:山地の腐植質に富んだ山林
  • 葉の特徴:シッポゴケの葉は上部が溝状なのに対し、オオシッポゴケの葉の上部は平滑であまり開出しない。葉先は鋭く尖ることはなく、葉の先端部まで達する中肋の上部背面には2~3列の極小の歯があります。
  • 葉腋の仮根:褐色
  • 蒴および蒴柄等の特徴:蒴柄は一茎に一本で蒴柄の発生部位は苞葉で包まれている。蒴柄の長さは2~4㎝で赤褐色。蒴は直径1mmほどで長さ約3.5㎜くらい斜めに傾いてできる。色は褐色。蓋に3㎜ほどの傾いたクチバシがある。蒴歯は褐色~赤褐色で口環は無い。
  • その他:庭園でシッポゴケと言ったら、おおむねオオシッポゴケの事が多い。

ミヤマシッポゴケ

  • 学名:Dicranoloma cylindrothecium
  • 漢字表記:深山尻尾蘚
  • 蘚丈:3~5cm
  • 葉身:4~7mm
  • 生育環境:山地の樹木や朽木
  • 葉の特徴:葉は光沢のある細く尖った披針形。ゴワゴワした感触で葉先は折れやすく、無傷のもので7mmほどの長さ。葉縁のおよそ1/2から上には小さな歯があり中肋背面にも同様に歯があります。中肋は細く葉の1/15以下の幅で葉先まで達する。翼細胞は1層で中肋にはステライドなし。
  • 葉腋の仮根:褐色
  • 蒴および蒴柄等の特徴:おおむね一茎一本(単生)の蒴柄に、シッポゴケそっくりな蒴をつける。形状は長さ3~4mmの円筒形で、乾いてもしわが寄らず気孔と口環がある。蒴歯もシッポゴケの様に上半部は2裂し、パピラと言われる乳頭突起があり下部に縦の条が見られる。帽は僧帽形。
  • その他:とにかく葉先が折れやすく、山中でも完全な状態の葉が少ないのが特徴。その他葉の細胞観察で翼細胞は1層で中肋にステライド(stereid)が見られなければ、おおむねミヤマシッポゴケと推測している。

カモジゴケ

  • 学名:Dicranum scoparium
  • 漢字表記:髢蘚または髢文字蘚
  • 蘚丈:2~7cm
  • 葉身:7~10mm
  • 生育環境:半日陰の腐食質に富んだ山林
  • 葉の特徴:葉縁の上半部1/3にはっきりとした歯があり、葉先の方では樋のように内曲し溝を作っている(V字状ではなくU字状)。葉先まで達する中肋は先端に行くほど細く、中肋上部の背面には2~4列に並ぶ極小の鋭い歯がある。乾くと鎌状に一定方向に曲がる。
  • 葉腋の仮根:褐色
  • 蒴および蒴柄等の特徴:蒴柄は長さ2~3㎝程度で、褐色の蒴は長さ2~3㎜の楕円形で湾曲し乾くと若干しわがでる。蓋は長さ3㎜弱の傾いた嘴があり口環はない。蒴歯の上部はパピラと呼ばれる乳頭突起があり淡褐色を呈し、下部では赤褐色を呈し縦の条がある。
  • その他:乾燥すると鎌状に曲がり方向がそろう(偏性)と言われていますが、他のシッポゴケの仲間でも環境により偏性している個体を見かけるので、個人的にはこれだけで同定するには難しく感じる。

ヒメカモジゴケ

  • 学名:Dicranum flagellare
  • 漢字表記:姫髢蘚
  • 蘚丈:1~2.5cm
  • 葉身:2~3mm 生育環境:山地の老木樹皮や朽木
  • 葉の特徴:葉はほとんどが平滑で披針形、乾くと強く巻縮する。上部の葉腋にはスギナの枝先状の小さな無性芽(長さ2~3mm)を付ける。中肋は葉の表面から若干膨隆して浮いて見える、上部背面にはやはり歯がついている。
  • 葉腋の仮根:褐色
  • 蒴および蒴柄等の特徴: 蒴は2~3mmくらいの円筒形で蓋は嘴が細長く尖っています。
  • その他:特徴的な無性芽を見つける事が出来れば、ヒメカモジゴケかコカモジゴケ(仮根褐色、中肋は際立って背方に突出)という選択肢になる。

その他のシッポゴケ

その他にもシッポゴケの仲間はたくさんあり、文献やwebで検索すると多くの情報を見つける事が出来ます。参考までに以下に和名と学名などデータを少し載せたいと思います。

【チシマシッポゴケ】

  • 学名:Dicranum majus
  • 漢字表記:千島尻尾蘚
  • 蘚丈:5~12cm
  • 葉身:10~15mm
  • 生育環境:腐植質に富んだ土壌
  • その他:雄株は矮雄として雌株の仮根に生える。

【チャシッポゴケ】

  • 学名:Dicranum fuscescens
  • 蘚丈:10~15cm
  • 葉身:5~10mm
  • 生育環境:山地の腐植質に富んだ土壌や朽木

【ナスシッポゴケ】

  • 学名:Dicranum leiodontum
  • 蘚丈:2~3cm
  • 葉身:約5mm
  • 生育環境:樹皮や朽木
  • その他:葉腋の仮根が発根後は白色なのが褐色に変わる。

シッポゴケの種類は他にもたくさんありシッポゴケだけで一冊の本が書けてしまうくらいありますので、この記事ではある程度名の知られている種類を取り上げて紹介させていただきました。


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kokemosskoboロゴ 著者:苔モス工房

苔玉づくりをきっかけに苔の魅力にどっぷりハマってしまい、現在は苔庭や苔盆栽からモスインテリアなど多岐にわたり没頭中。さらに詳しくは⇒About us

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