まずは結論から書いてしまうと、苔を除去する為にコンクリートへ熱湯や高温スチームをかけるのはNGです。コンクリート建造物に熱湯や高温スチームをかけると、コンクリートの表面と内部での急激な温度差により亀裂が入る恐れがあるためです。
コンクリートは熱収縮により亀裂が入りやすい事で知られています。その時は小さな亀裂でもそこから大気中に含まれる二酸化炭素により、アルカリ性であるコンクリートに中性化という有害事象が起こり、強度低下や内部の鉄筋の腐食に繋がります。また熱湯や高温スチームによりコンクリートに添加されている薬剤(添加剤や品質保持剤)の変質劣化も考えられます。
確かに苔は熱湯や高温スチームにより枯死しますが、その場所の環境が変わらなければ再び胞子が飛んできて繁殖してしまいます。永久的に苔を生やさなくする事は不可能ですが、コンクリート表面の苔をスクレーパーでこそぎ落としたり高圧洗浄機(スチームは使わず常温)で吹き飛ばしてしまう方法もあります。
そして苔が好む条件(適度な湿度・日照・温度)を1つでも減らして生命力を弱め、再繁殖を予防する対策を併用する事で、苔が生えていない状態を長く維持できます。市販の苔除去剤の中で、コンクリート対応の商品を使う事も一つの手としてお勧めできます。