苔は乾燥すると写真の苔のように葉っぱをクルクルと縮れさせる捲縮(けんしゅく)という現象を生じます。これは葉の表面積を小さくして、葉からの水蒸気の蒸散量を極力小さくし水分を奪われない様に身を守っています。そして再び水と出会うまで根気よく耐え抜いて水分を吸収できるチャンスが来ると、まるで生きているかのように驚くほど速く葉っぱを開き始めます。
この捲縮という現象は乾燥から身を守るだけでなく、気温が下がるころには凍結から身を守る働きもあります。生物は基本的に細胞内の水分が凍ってしまうと、水分の堆積が凍結により膨張して細胞が破壊されてしまいます。動物でいうところの凍傷や、植物でいう凍霜害(とうそうがい)にやられダメージを受けてしまう状態です。このような現象からの防衛策として苔はカラダの水分を「捲縮」をすることで極力少なく保ちます。
この映像は苔をカラカラに乾燥させ捲縮させたところに、霧吹きで水分を与えて葉が開くところを等倍速で観察したものです。草花も同じように乾燥状態から水を与えてやると同じように樹勢を取り戻しますが、姿が再生するまでの時間が苔の場合は驚くほど速いので観察していても楽しいので、苔を育てている方はぜひ試してみてくださいね。